ある企業の研修で親しくなった営業企画の女性からランチのお誘い。
もちろん喜んでご一緒しました。翌週から産休に入るので、その前に私に会いたかったとのこと。慶事の前だというのに、表情が暗く、心配になりました。
彼女は34才。営業職から営業企画、マーケティング担当になり、セールス促進アイテムの開発などでも活躍していました。女性の営業職としては、花形コースです。ですが、その日の彼女にはオーラがありません。
理由を尋ねると、まさかの言葉が。
「職場復帰後のプランを人事と相談していたのですが、営業企画には戻れないと言われました。理由は、復帰する時期は新製品の発売時期が
重なるため、営業企画はPRと一緒に動いているので、途中復帰は難しい」と言われたそうです。
ご主人とかなり激論を交わした結果、ご主人も育休をとることを了承してくれたそうです。彼女としては、復帰後もバリバリ働くぞ!という
気持ちだったのでしょう。彼女は社内初の部長を目指していたそうです。
ですが、復帰後はどの部署になるのか、まったくわからないそうです。
「ヒラリーが言っていたガラスの天井になんて、まったく届かない。
彼女は自分たちが思っているよりも早くガラスの天井を打ち破る女性が出現すると敗北宣言のスピーチで言っていましたが、日本の現実はガラスの天井どころか、ガラスの玄関マットぐらい。それさえも越えられない」と。
一気にそこまでを言い切ると、雲丹とホタテのクリームスパゲティーを一気にお腹の中に。
私も同じように「生きづらい」と思いながら、勤務を続けていた時代があります。日本はたいして変わっていないのだろうか?とも思います。
ですが、実際には、日本の企業は、一気にある段階を飛び越そうとしているのです。
女性の能力をどのように活かすことが会社の利益になるのか、実は隠れた能力をもった女性社員が数多く存在する、ということにすら目を向けることなく、企業は一気に飛び跳ねようとしているのです。
事務職、間接部門職の超削減です。これは生産性を考えれば当然のこと。
ですが、その前にすべきことがあるはずです。自社で採用した女性社員は実力を発揮しているだろうか、という確認と人的財産の試算を忘れているのです。
さらには、全社員はどうだろうか?と男女の区別を排した視点での、人的資産の試算を忘れているのではないでしょうか。
その結果、自己成長のベクトルと企業の経営ベクトルが一致しない状況が、多くの企業で発生します。それが、転職社員を急増させている理由です。
この「一致しない状況」に気づいた社員にとって、その状況こそ「転機の到来」ターニングポイントになります。
心のどこかで、そのことに悩んでいる社員は相当数います。終身雇用制度や年功序列が崩壊した以上、キャリアパスは自分でつくる時代になりました。
企業がこの時代にできることはただ一つです。セルフリーダーシップ×ロジカルを社員に教育し、その中で「一致しない状況」のマネジメントを企業と個人の双方で解決していくしかないのです。
この手法を企業と個人のバランスにすることでしか、人材流動の時代を自社の強みに変える人材戦略を構築することはできません。
自分でキャリアパスを決められない相当数のビジネスパーソンは、単なる「転職」という方法でしか、道を決めることができないのです。
ターニングポイントマネジメントとは、セルフリーダーシップ×ロジカルを身につけた社員が、企業の経営ベクトルとどのように向き合って生きていくのかを導く手法です。
相談をしてくれた彼女に「ガラスの天井は一点だけを見ているとそう見えるかもしれないよ。自分で天井を決めることもできる時代になっているのでは」と話しました。彼女にとって「出産」は、今までの視点とは異なる視点からモノをみるロジカルな良い経験になることでしょう。
「産休万歳!ベビー万歳!出産も子育ても、仕事を続けることも、みんな大事な私の人生、だから自分で決めます!」と大きな声で笑いながら、デザートのappleパイをほおばっていました。たくましい、きっと良いターニングポイントを迎えることでしょう。
12月7日、「ターニングポイントは風の中で」刊行記念セミナーでは、セルフリーダーシップ×ロジカルで導き出す、「キャリアの考え方・決め方」について、論理的な思考方法をご説明いたします。男女関係なく、すべての社員の皆様にかかわるお話です。ぜひ、ご受講ください。