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「タテからヨコ」に組織を変える?そのためにすべきこと

「イノベーションに舵を切る」という言葉は多くの企業が発信していることです。
ある企業でセルフリーダーシップの研修をしていたときの出来事です。組織が変化に強くなることの難しさを痛感しました。

セルフリーダーシップの研修では、自分の想いと方向性をどのように実現していくのか、そのためには自分を変えることに集中できる能力、自分がすべきことを自分で判断できる能力が重要になります。実は、セルフリーダーシップは、イノベーション型人材を育成するためのベーシックな教育でもあるのです。

ところが研修期間中のフィードバック面談の際に、受講者から相談が。
上司が何事につけ、トップダウンでガンガン言ってくる、というのです。
セルフリーダーシップでは、既存の思考から、変わるための思考に置き換えることや他者、他社の実例を自分に置き換えるという鍛錬を行います。なのに・・・・・。

自分で考えることを全否定されていると感じてしまう、というのが彼の痛切な悩みでした。
流石に研修講師の立場では、「上司に問題あり」とは口に出せません。
とはいえ、若手社員のモチベーションを破壊することを看過できないのです。

人材開発の担当者と話をしたところ「当社にはまだ早かったのかもしれません。
イノベーションは。社長はやる気なのですが」と。「今やり出しても、遅いくらいですよ」と思わず言ってしまいました。

そこで、人材開発の担当者には「タテパナとヨコパナ」の話を例としてお教えしました。
昨年、パナソニックが「イノベーションに舵を切るための組織改革」を断行した話です。
簡単に言えば、トップダウン型リーダーシップである松下幸之助理論からの卒業です。

「タテパナ」というのは、事業部門の縦割りを優先したトップダウンの仕組み。「ヨコパナ」というのは部門間連携を中心とした新規事業創発に適した仕組みです。

パナソニックはこの組織改革を断行することで、モノづくりの会社からコトづくりの会社へとシフトしています。権限移譲の拡大や他社との連携などを「当たり前のこと」にする組織づくりにシフトしたのです。

その中で、ユーザーエクスペリエンスやサービスデザインシンキングなどをごく普通のビジネス思考として取り入れています。
最終的には、若手社員の育成をしながら、この組織のヨコ型を構築することが必要だと説明しました。人材開発室自体が、単独で人づくりを考えていたことも、タテ型思考の一つだという話になりました。

3か月後、この企業では「ヨコ」の有効性を理解する勉強会を始めたそうです。担当者は「まだ、ここからなんです。時間がかかること自体が勝てない組織風土になっているということですよね」と。「今から、もっとスピードを上げればいいだけですよ。やり貫くことですよ」と話しました。

どのような取り組みでも、最初は決断と決意が必要です。「遅い」ということはありませんよね。

セルフリーダーシップをベースにしたターニングポイントマネジメントのメソッドは、個人にも、企業にも有効な思考理論です。まずは、女性活躍で試してみませんか?