ビジネスウェルネス倶楽部Business Welness Club

意見を交わすはずが独演会にしてしまった部長の失敗談。

例年、若手向けの研修をご依頼いただいている総合商社にお打ち合わせに伺ったときのこと。人事関係の部長さんから、「営業部門のY部長が、石川さんに相談があるというのですが、お時間いただけますか?」と。オーダーをお受けして、お話をお聞かせいただきました。

「この頃、会議をするたびに部下のモチベーションが下がっているような気がしているんです。3年越しで交渉していた海外企業の製品の取り扱いが決まり、一気に営業をかけていく時期なのに、どうしたものかと思いまして」とのことでした。

王道とおり、会議の進め方を教えていただき、その場でY部長がお話になった内容をうかがいました。その瞬間、「それは無理ですよ。モチベーションを壊しています」と答えてしまいました。

話を聞いているかぎり、実は会議というよりは「気持ちを1つにして、目標をクリアしようじゃないか。そのためにはもっと情報共有をしっかり行うことや意見を交わす場を増やそう」ということで「意見を出しあう場」という設定をしたというのです。

こんな雑駁は設定では、意見など出るはずもないでしょう。しかも、「若い社員が多いので、中小とはいえ商社マンとしての心がまえや成功体験をだいぶ話してきたのですが、響いていないのです」というではありませんか。

「Y部長、お気持ちはわかりますが、それでは独演会になってしまったのでは?」と申し上げると「う・・・・まぁ、そうですね。ついつい」との回答。さすがにこのご時世、「上司の独演会」は耐え難い時間にしかなりません。最初から、「部長の成功談からヒントをつかむ」というテーマであったならば、状況は違っていたかもしれません。

ましてや「成功談のどの部分がヒントになりそうだ」という想定を話す側がしっかりとしていないと、情勢に見合わない話をとくとくとしてしまうことになります。おそらく、この残念なパターンにY部長は陥ってしまったのでしょう。

ですが根本の問題は、「情報共有」は「場」をもつ必要がない、ということではないでしょうか。情報共有は会議の前に行い、質問も事前に出しておく。だからこそ、意見を交わすことができます。意見を出すことは、質問攻めにすることではなく、自案をもって臨むことです。

「場」を同じ空間・時間で共有することの意味や成果を十分に見直さなければ、定時退社は実現できません。いくらオフィスイノベーションで、立ったまま、カウンターで部下に声をかけて話しているというようなスマートなスタイルを選択しても、中身が大事です。

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ぜひ、お楽しみに!