48歳男性、大手企業グループ会社の部長。長く営業企画の仕事をしていました。
若いころは、企画からその後の営業までをやり遂げていたそうです。
彼と出会ったのは、ある研修の打ち合わせの席でした。席を立とうとしたところ、聞いてもらいたいことがある、とのことで、そのまま1時間近く。
彼はどうしても現状打破できない会社の状況をこれ以上は、見過ごせないと感じていました。
新規ビジネスを企画してもさしたる大きな成果が見えず、何かが「ズレている」と感じていたとのこと。その「何か」がよくわからない、という話でした。
端的に答えを伝えました。「本当の危機感がないのでは。何のためにこの業務をしているのか、という明確な回答が言葉に出てきませんね」と。
すると、彼は「お恥ずかしいのですが、この職責になっても言われたことをやっている感じなんですよ。本当の意味での仕事をしていない」と。
大手企業のグループ会社では、よくあることのように感じました。
それから、何度か彼とメールのやりとりをしました。そして1ヵ月後、彼は異動願いを出しました。営業の現場に戻ることを決意したそうです。「何のために、がわからないんですよ。実は私も。なので、原点に戻ってみたいと思いました」とのこと。
ですが、その意思は叶いませんでした。彼は、それならばと、「何のために」をいろいろな会議の場で、問いかけはじめました。
最初の内は、「うるさいよね。しつこいよ。やることやれば、別にいいじゃないか」と部下や同僚が言っている声が聞こえてきたそうです。ですが、当面の数字の結果は出したが、営業プロセスについてお叱りをいただき、今回限りになった事案が発生したそうです。
彼は部下を叱ることなく、「何のために、この数字を創ったのか?」と尋ねたそうです。
それ以来、彼のチームや関連部署では、「何のために」は必須となったそうです。
彼は、今年52歳になります。人生にとっての「何のために」を考えながら、56歳人生再開発に挑む計画を立てたそうです。素敵な選択ですね。